こんにちは。
先日お店では、友人のアーティストPongeさんによるぬいぐるみ作りのワークショップがありました。
同じ素材から始まっても、みんなそれぞれの世界観が出ていて、表情もどれ一つとして同じものはなくそばで見ていてとっても楽しかったです☆
子ども大人関係なくこうして制作に没頭し楽しんで共有できる場って素敵だなと、改めて思ったわたしでした。
今回はわたしもそのワークショップ開催に合わせ、ぬいぐるみやおもちゃの登場する絵本をいくつかセレクトさせて貰ったので、今日から特集としてお届けしたいと思います♪
今日は「大切な友だち」をテーマに。
それでは
1. くまのコールテンくん
くまのコールテンくんは、デパートのおもちゃ売り場に並ぶくまのぬいぐるみ。おもちゃ売り場では動物も、人形も、みな、早く誰かがきて自分をうちに連れていってくれないかなと思っていました。でも、緑色のズボンを着た小さなくまのこを買っていこうとする人はいませんでした。
そんなある日、お母さんと一緒にやってきた女の子がコールテンくんに目を止めて・・・。
ぬいぐるみの絵本、といえば真っ先におすすめしたい一冊。
コールテンくんの愛らしさと素直さに、大人も子どももきっと虜になってしまいます。人に限らず、大好きになってしまうものとの出会いはご縁だなぁって、これを読んでつくづく思います。
その場では買えなくても、翌日貯金を持ってやってくる女の子とコールテンくんの触れ合いが愛おしい。お話は冒険の要素もあって自然に引き込まれるので、絵本にあまり触れたことのないお子さんにもおすすめです。原書の題名は”コーデュロイ”ですが、あまり聞かなくなった”コールテン”と名前がついているところに読み継がれてきた年月を感じます。
『くまのコールテンくん』
“Corduroy”
ドン・フリーマン さく
松岡享子 やく
偕成社 1975年
読んであげるなら:3歳さんくらいから
2. わすれもの
大きな公園のベンチに、小さな小さなひつじのぬいぐるみがぽつんと座っていました。
「なんで こんなところに おいてあるのだろう」
通りかかる人はみんな不思議に思います。ひつじは黙ったままじっと座っていました。
ひつじは持ち主を待っているのです。果たして、あの子は見つけてくれるのでしょうか・・・。
お話はもちろんのこと、豊福まきこさんの淡く優しい水彩画に心癒される一冊。
いろいろな危険にあいながらも持ち主の女の子のことを待ち続け、自分がいないときの女の子の心配さえしているひつじくんが健気で愛らしいです。
大切なものに対する気持ちには大人も子どももない、誰もが共有できる気持ちを絵本にしたい、とインタビューで話されているのが印象的でした。
大切なものを必死になって探した思い出がよみがえるかもしれません。終わり方にほっと爽やかな気持ちになります。
『わすれもの』
豊福まきこ
BL出版 2017年
読んであげるなら:3歳さんくらいから
3. こんとあき
こんは、あきのおばあちゃんが作ったキツネのぬいぐるみ。あきが赤ちゃんの頃から、ふたりはいつも一緒です。ある日、とうとう こんの腕がほころびてしまいました。こんの腕を直してもらうために、ふたりは一緒におばあちゃんの家を目指しますが…。(福音館書店 紹介文より)
内容はよく知らなくても、表紙を知ってるという方は多いのではないでしょうか。
お話は、ぬいぐるみのこんが、赤ちゃんのあきの到着をゆりかごの前で待っているシーンから始まります。その時からあきの成長をずっと見守ってきたこん。こんはお兄ちゃん、あきは妹なのです。
旅中でもあきのお世話をしたり、身を挺してあきを助けているシーンがたくさん。
大人になるとそういう気持ちが薄れてしまうけれど、子どもたちにとってぬいぐるみはモノではなく、自分をいつも見ていてくれるかけがえのない存在なんですよね。そして、大切に思う気持ちはこんも同じ。そんな2人の絆にじーんときます。
電車内の様子も生き生きしていて、隅からすみまで楽しいです。冒険物語としても味わえますし、大人はちょっぴり切ない気持ちになる林明子さんの傑作です。
『こんとあき』
林明子 さく
福音館書店 1989年
読んであげるなら:3、4歳さんくらいから
4 ふわふわくんとアルフレッド
ふわふわくんは、おもちゃのくま。友だちのアルフレッドと一緒に住んでいました。
2人はアルフレッドが赤んぼうの時からの友だち。一緒に朝ごはんを食べたり、遊んだり、テレビを見たり、いろんな時を一緒に過ごしてきました。
ところが、ある日アルフレッドにトラのおもちゃが届いてから、もうアルフレッドはふわふわくんと遊ばなくなりました。ふわふわくんはおもちゃ箱に放り込まれます。
あるとき、裏庭へおもちゃ箱を持ち出したアルフレッドは、積み木で自分とトラくんの家を作りはじめました。そのとき、妙なことが起こったのです。
「どうして ぼくも なかまに いれてくれないの?」
積み木の家のわきに、ふわふわくんが立っていたのです。
「ぼくだって、いっしょにあそびたいよ」
アルフレッドはトラくんと遊ぶんだ、と言ってふわふわくんを遠くへ放り投げてしまいます。
そこから起こったできごとは・・・
このお話は、大切だったはずの友だちがそうじゃなくなったところから始まります。
新しくやってきたトラくんに夢中のアルフレッドに、また遊んでよ!と主張するふわふわくん。
いやだ、と言われて、そこからふわふわくんの取った半ばやけっぱち?大胆な行動が驚きです。
自分の気持ちを主張するふわふわくんは、全おもちゃの声を代表しているのかもしれません!
果たして2人の仲はどうなるのでしょう。
大人が知ることのない子どもとおもちゃの世界はこんなに生き生きと輝いているのかと、わたしは感動してしまいます。作者のドロシー・マリノは素朴な魅力が光る「くんちゃん」シリーズもぜひおすすめです。
絆を取り戻すべく立ち上がったふわふわくんに注目です。
『ふわふわくんとアルフレッド』
“Fuzzy and Alfred”
ドロシー・マリノ 文・絵
石井桃子 訳
読んであげるなら:4歳さんくらいから
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