
私事ですが3月に引っ越しをしました。
新環境での暮らしにわくわくと不安がごっちゃ混ぜでしたが、おかげさまでだんだんと落ち着いてきました〜。
春は変化の時期。
今日はお引っ越し、就職、入学などなど新しい始まりを迎える方にお勧めの一冊を紹介したいと思います。
絵本の主人公は、そう〜、やどかりくん◎
エリック・カールさんの鮮やかポップな絵に目を奪われます。
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1月のある日、「そろそろおひっこししなくちゃ」と、やどかりが言いました。
貝殻の家はとても居心地が良かったのですが、やどかりは大きくなったので少し窮屈になりました。とても怖かったけれど、やどかりは家から抜け出して海の底に立ちました。
2月。やどかりは大きくて丈夫な貝殻を見つけます。
3月、4月、5月…と月毎にお話は進み、やどかりは色々な生き物と友だちになります。
いそぎんちゃく、ヒトデ、サンゴに巻き貝。みんなやどかりと一緒に暮らし始めます。貝殻のお家が賑やかになっていく様子が面白いです。

ところが11月。やどかりはまた大きくなって、別の家を見つけなければならなくなりました。
でもせっかく友だちになった皆を置いていくことなんてできません。さて、どうしよう。
12月。やどかりは、自分より少し小さなやどかりと出会いました。やどかりはこの子に自分の貝殻を譲ることにします。友だち達に親切にする、という約束を交わして。

新しいお家を見つけに旅立つやどかりでしたが、今度はもう怖くありません。また新しい友だちに出会えると知っていたからです。
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物事の節目にはついて回る、出会いと別れ。
そうでなくとも自分のステージが変われば何となく疎遠になってしまうことってありますよね。
さみしい気持ちになる瞬間もあるけれど、一緒に過ごせたことへの感謝と思いやりを示しながら前進するやどかりくんの物語は、読む人にきっと勇気を与えてくれることでしょう。
沢山の存在がやどかりくんを強くしてくれました。これからどんな出会いが待っているのでしょう。
新しく広がる世界を、めいっぱい楽しんでいきたいですね☆
エリック・カールさんはやどかりが好きだったのだそう。
自分にしっくりくるお家探しを繰り返し、自らをアップデートするやどかりのクリエイティブさと身軽さはカッコイイです。
海の生き物好きさんにもお勧めしたい一冊です。
『やどかりのおひっこし』
エリック・カール 作
もりひさし 訳
偕成社
読んであげるなら:2歳さんくらいから
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ちょっと補足で。
前向きに旅立つやどかりくんだけど、じゃあ残される方はどうなの、寂しいんじゃないかって。
旅立つ側が主人公の『やどかりのおひっこし』ですが、見送る側が主人公の絵本もあったことを思い出しました。
かさいまりさんの『ぼくとクッキー さよなら またね』という作品です。
大好きな友だちが引っ越すことになって・・・。文字がほとんどなく「ぼく」の気持ちが迫ってきます。大好きな友だちがいるって素敵なことだなって思います。良かったら読んでみてください。


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