【絵本18】『光の旅 かげの旅』その他 アン・ジョナス

どうしても惹かれる、そばに置いておきたい絵本はありますか。

『光の旅 かげの旅』は、私にとっての”そば置き”絵本の一つです♡

はじめて読んだ時は衝撃で。最後のページまで行き着いたら、くるっと逆さまにして読んでみる。
すると、全く別の景色が浮かび上がるのです。

お話は自宅を出発するところから。農場や山道、高速道路を通って街に出て、映画を見て、一番高いビルに登って景色を眺める。ここから景色が反転。映画館はレストランに、地下鉄は駐車場に、道路はサーチライトに早変わり!自宅が見えてきたところでお話は終わります。なんと粋な仕掛けでしょう。

英題は『Round Trip』ですが、物理的に絵本をまわすところも含めてこの題名はぴったり。

表紙も逆さまに

今見ている景色だけが、すべてじゃない。
私たちは物事を見たいようにしか見ないけれど、いつだって違う見方が隠れている。

このお話はそのことを伝えてくれているような気がして、読むたびはっとさせられます。
素晴らしいアートにため息。インテリアにもおしゃれな一冊なのです。

作者はアメリカのグラフィックデザイナー、絵本作家のアン・ジョナス(Ann Jonas)さん。
日本では他にも『いろのダンス』(福武書店)『あたらしいおふとん』(あかね書房)が出版されています。『いろのダンス』は、色の三原色(あか、あお、きいろ)がとても分かりやすく描かれていて、色のお勉強になります。ベールが透けているところの色使いとか、絵が本当に美しい!すでに絶版になっているのが残念です。

『あたらしいおふとん』は、思い出の布をパッチワークのように紡いで作られた、ある女の子とおふとんの物語。女の子が布を眺めるうち、夢の世界に誘われます。影の描写がこれまた美しいです。

『光の旅 かげの旅』では人は登場しませんが、他の2作品を読むと人物の表情が柔らかいのがとても素敵で、白黒の絵本とはまた違った印象を受けます。

ぜひぜひ、読んでみてください。

『光の旅 かげの旅』
アン・ジョナス 作
内海まお 訳
評論社
読んであげるなら:3歳さんくらいから

○ 追記 5/8 ○

1987年発刊の『Reflections』という作品を読みました。(日本語には未翻訳)
この絵本も『光の旅 かげの旅』と同じ構成で最後のページで本をひっくり返すのですが、全面カラーなところが白黒とはすごく異なります。カラーな分、創るのは大変だったかなぁ、なんて想いを馳せながら読みました。

反転すると現れる景色に変わらず驚かされます。おすすめです。


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