人間とそうでないもの ー異類婚姻譚

こんにちは。
ずいぶんと久しぶりの更新になってしまいました。

最近、近くの森林公園によくお散歩に行くのですが、今朝は曇っていて、珍しく他に歩いている人も見かけず、シーンと静まり返っていました。歩いていると、「カサカサッ」と何かが走っていく音が聞こえたり(イノシシ??)、鳥たちのおしゃべりがやたら賑やかに聞こえたり、カラスの羽ばたきにちょっと驚いたり。

整備されている森でビクッとするくらいなので、鬱蒼とした森の中を一人で歩くのはさらにドキドキするだろうと思ってしまいました。

いま、小澤俊夫先生の主催する昔ばなし大学の専門コースを受講しています。
その中で先日は、間宮史子先生の「異類婚姻譚」の講義を視聴しました。

異類婚姻譚とは、人間と人間以外のものとの結婚を語る昔話のこと。
その中でも、今回は動物が婿になるお話を日本とヨーロッパを比較しながら読み解く内容でした。
動物と夫婦になるお話は『鶴の恩返し』くらいしか知らなかったので、すごく興味深かったです!

日本とヨーロッパで共通しているのは、日本では水田、畑、山など、ヨーロッパでは畑、泉、森など、人間が住む世界とそうでないものが住む世界の中間地点がお話に登場する、ということ。
ここで、人間とそうでないもの(今回は動物)の最初のアプローチがあります。

共通していないのは、日本の話では「動物」は最後まで「動物」で、動物の婿は徹底的に人間から排斥される結末です。動物のお嫁さんにならずに済んでよかったね、というのがハッピーエンドになるのに対し、
ヨーロッパのお話は、登場する動物はそもそも魔法をかけられた人間で、「魔法からの救済」がお話のテーマになっているということ。お姫さまに投げつけられて人間に戻る『カエルの王さま』は結構有名ですよね。救済がテーマなのはキリスト教の影響があるとのことでした。

それをひっくるめて共通するのは、やはり人間は動物とは結婚しない(動物だと思っていたら人間だった!)、結婚してもうまくいかない、という結末。

お互いの世界の明確な棲み分けのようなものを、今朝の森での「ひゅっ」とした一瞬の冷たさから感じ取った気がして、綴ってみたくなりました。
どんな本質が詰め込まれているのかまだ分からないけれど、、少なくとも「みんな一緒になかよく」ではない。

今のところは動物の婿との結婚話だけれど、動物嫁との話はどうなんだろう。
また違うパターンなのかもしれませんね。


印象的だった日本の猿婿のお話がありました。新潟で語られたお話だそうですが、畑の草取りを手伝った猿が、おじいさんから娘をお嫁にもらいます。この娘はしばらく山の猿の家で暮らすのですが、里帰りのときに娘の策略によって猿は谷川に落ちてしまいます。

流されていくとき、猿は
「かわいい嫁を、ひとりぼっちのやもめにした。ええん、ええん」
と泣いたそうです。
ちょっとかわいそうになりました。きっとこの猿は娘を愛していた。でも、娘はいやいやで、猿の殺害を目論んでいた。何とも言えない哀しさがありますね。
(小沢俊夫再話『日本の昔話1 はなさかじい』福音館書店、1995年)

次回はどんなお話なのかな。楽しみです!
昔話は奥深い〜⭐︎






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