【絵本19】『ふしぎなたけのこ』自然のめぐみ

こんにちは。

たけのこの季節が、もうすぐ終わりますね。
たけのこが大好き!という訳じゃなかった私ですが、今年はかうち彩園さんから立派な生たけのこを連れて帰って、アク抜きから調理してみました!

立派なたけのこ。毛がふさふさで動物みたいだ
先端を3分の1ほど切る。皮を剥きやすいように縦に切れ込みを入れ、米ぬかと一緒に50分ほど茹でる。
茹で汁につけたまま一晩放置。写真は皮をするするっと取ったところ。

アク抜き後はえぐみも残らず、若竹煮やお吸いもの、炊き込みご飯、天ぷらに。
初めてだったけど、旬の美味しさと達成感に身も心も一気にテンション上がりました☆
たけのこのぐいっと伸びていくパワーをお裾分けしてもらった気分です。

そんなこんなでたけのこに浸っていたら、この絵本を思い出したので今日は紹介します。

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『ふしぎなたけのこ』

山の奥の村の、昔むかしのお話。

この日はたろの誕生日。お母さんからご馳走のたけのこを掘ってきておくれと頼まれたたろは、竹林に出かけます。

たけのこを見つけて掘っていると、暑くなって上着を側のたけのこにかけました。

とその途端…、たけのこがぐぐぐっと伸び始めたのです。慌てて上着を取ろうとして、たけのこと一緒に上へ上へ昇っていくたろ…

いつまで経っても戻らないたろを心配したお母さんが探しに出ると、遥か上空からたろのかすかな声が聞こえるではありませんか。村の人たちも駆けつけます。

一方のたけのこは、伸びるのに飽きて一休み。たろを助けるため、今のうちに!とたけのこを切りにかかる村人たち。

たけのこは長い長い時間をかけ、ついにものすごい地響きを立てて倒れます。そのたけのこを辿っていくと、村の人たちは大きな池にたどり着きます。その池と思える水辺は、実は海でした。
海へ行かなくなりもう100年経っていましたが、再び昆布や魚や貝が採れると知った村の人たちは大喜び!無事だったたろのお誕生日祝いが改めて開かれます。

山深い村ですが、もう海までの道に迷うことはありません。たけのこが道しるべになってくれますからね。

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読んでいると、山に住んでいれば海の食べものが手に入るのは当たり前じゃなかったかつての暮らしのことを思います。今はどこに住んでいても何でも手に入る時代だから、村人たちの驚きと喜びが新鮮なんです。

便利で嬉しいことだけど、食材がどうやってやってきたのか…ということに思いを馳せにくく、もはや特別感が無いに等しいのは残念ですね。

村人たちの驚いたり泣いたり喜んだりとすごく生き生きした表情と、海の幸山の幸を楽しむエンディングにほっこりします。

ところで、目覚めたように突如伸び始めたたけのこは、一体なんだったのだろう。

結果的に恵みをもたらしてくれたけど、このどこまでも理不尽なたけのこには自然の脅威すら感じる私です。笑

コインの裏表のように恵みも恐ろしさもバッチリ与える自然を、私たちは敬ったり畏れたりしながら暮らしてきたんだなぁ、なんてふと思ったのでした。

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たけのこが天高く伸びていくというダイナミックでテンポの良い展開にぐいぐい引き込まれます。
誕生日をお祝いするくだりは、現代っ子も親しみが湧きそうです◎

ブラチスラバ世界絵本原画展という2年に1度開催されるコンクールで第1回目のグランプリを獲得した作品です。

作者松野正子さんの「お話が本当だと思える時期を大切にしてほしい」という想いが込められているそうで、素敵ですね。

たけのこが食卓に並ぶ日なんかに、ぜひ読んでみてください。

『ふしぎなたけのこ』
松野正子 さく
瀬川康夫 え
福音館書店
読んであげるなら:3歳さんくらいから

♪読んでくれてありがとう♬


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