【英語で楽しむ絵本】『しろいうさぎと くろいうさぎ』

こんにちは。

気づけば9月も終わり、あっという間に10月・・・。時の流れる速さにビックリします・・・。

久しぶりの今日は、日本ではお馴染みこちらの絵本『The Rabbits’ Wedding(しろいうさぎとくろいうさぎ)』のご紹介。

この絵本、小さい頃好きだったお話の一つで。
特に最後のページの、ふわふわのしろいうさぎとくろいうさぎがくっついて葉っぱをもしゃもしゃしているところ。とても印象に残っています。

ガース・ウィリアムズの1958年の作品です。色合いを抑えながらも際立つ挿し絵が素晴らしいです。

・・・おはなし・・・

”しろいうさぎと くろいうさぎ、2ひきの ちいさなうさぎが ひろいもりのなかに、すんでいました”

この2ひきはとっても仲良し。いつも一緒に遊んでいます。
ひなぎくとび、かくれんぼ、どんぐり探し・・・。
遊びながらも、ときどきくろいうさぎは悲しそうな顔をして座り込むことがありました。

しろいうさぎが「どうしたの?」と聞くと、
「うん、ぼく、ちょっとかんがえてたんだ」と、くろいうさぎ。

しろいうさぎはとうとう気になって
「さっきから、なにをそんなにかんがえているの?」と尋ねます。

くろいうさぎは「いつも、いつも、いつまでも、君といっしょにいられますように」と
願いごとをしているんだ、と答えます。

目をまぁるくしたしろいうさぎは、「ね、そのこともっと一生懸命考えてごらんなさいよ」と
くろいうさぎに伝えます。

すると、くろいうさぎも目をまぁるくして、もっと一生懸命考えます。

そして、心を込めてこう言います。
「これからさき、いつも きみといっしょに いられますように!」

・・・・・・・・・・

しろいうさぎに促され、自分の気持ちをさらに懸命に考えるくろいうさぎが可愛らしい。

この後、2匹はたんぽぽを耳に飾り、ほかの動物たちに見守られ結婚パーティーをします。

表紙と英題”The Rabbits’ Wedding”から、これがラブ・ストーリーというのが何となく伝わりますが、私は日本語の『しろいうさぎと くろいうさぎ』という題名が、お話をより想像するスペースを残してくれている気がして好きです♪

好きなフレーズをご紹介します。

くろいうさぎも、めを まんまるくして、いっしょうけんめい かんがえました。
そして、こころをこめて いいました。
「これからさき、いつも きみといっしょに いられますように!」

The little black rabbit opened his eyes very wide and thought very hard.
“I wish you were all mine!” said the little black rabbit.

「じゃ、わたし、これからさき、いつも あなたと いっしょにいるわ」と、しろいうさぎが いいました。
「いつも いつも、いつまでも?」くろいうさぎが ききました。
「いつも いつも、いつまでも!」しろいうさぎは こたえました。

“Then I will be all yours,” said the little white rabbit.
“Forever and always?” asked the little black rabbit.
“Forever and always!” replied the little white rabbit.

“I wish you were all mine!”というフレーズ、なんだか情熱的でロマンチックな響きですね。笑
英語では普通の表現なのでしょうか。
松岡享子さんの「いつも君といっしょにいられますように!」が、スッと入ってくる気がします。

どうして葉っぱをもしゃもしゃしてる2匹の絵が印象に残ってるのかなって考えたら、それまで2匹が会話したり2本足で立ったりして人間みたいだったのに、最後に急に動物のうさぎっぽく見えたからかな、って思いました。

この場面

そして子どもの頃好きだったのは、うさぎのふっわふわで柔らかな毛並み!
毛が一本一本細かく繊細に描かれていて、それを眺めるだけで楽しかった思い出です。

これは知らなかったのですが、英語版の絵本は当時アメリカで「異人種間の結婚」や「融合政策」をプロモートするものだとして論争を巻き起こし、刊行翌年には出版禁止となってしまったそうです。

作者のウィリアムズはそのような意図は全くなかったそうで、白黒の色は、中国の絵画に登場する白黒の馬からインスピレーションを得たとのことでした。
時代に翻弄された絵本でもあったんですね。

素直な気持ちを伝え合うことや、大切な存在がいることの素晴らしさ(その存在がいなくなったらと考えた時の寂しさのようなものも含めて)を伝えてくれる、大切にしたくなる一冊です。

英語も分かりやすいです。ぜひ読んでみてくださいね。

『The Rabbits’ Wedding』
Garth Williams 1958

『しろいうさぎとくろいうさぎ』
ガース・ウィリアムズ
福音館書店
読んであげるなら:3、4歳さんくらいから

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